Blenderでウェイトペイントを行う際に、見えていない裏面も同時にペイントする方法を紹介します。
1. ウェイトペイントで裏面も同時にペイントする方法 – Blender 2.82以降
Blender 2.82以降を使用している場合は、サイドバー(Sidebar)のツール(Tool)などにあるブラシ設定(Brush Settings) → 詳細設定(Advanced)の前面のみ(Front Face Only)のチェックを外して、ブラシ設定(Brush Settings) → 減衰(Falloff) → 減衰の形状(Falloff Shape)を球(Sphere)から投影(Projected)に変更してください(画像1参照)。

画像1
この状態でペイントすると画像2のように、前面(表面)とその裏面を同じウェイトで同時にペイントすることができます。

画像2
前面と裏面を同時に塗るのではなく、前面だけをペイントしたい場合にはデフォルトの前面のみ(Front Faces Only)にチェックを入れて、減衰の形状(Falloff Shape)を球(Sphere)にしてください。
2. ウェイトペイントで裏面も同時にペイントする方法- Blender 2.79bなど
ウェイトペイント(Weight Paint)モードに切り替えたら、Nキーでサイドバー(Sidebar)を表示させます。
サイドバー(Sidebar)のツール(Tool)タブからブラシ(Brush) → オプション(Options)と進みます。
デフォルトでは前面のみ(Front Faces Only)にだけチェックが入っている状態ですが、画像2のように前面のみ(Front Faces Only)のチェックを外して、2Dの減衰(2D Falloff)にチェックを入れます。

画像3
3. ウェイトペイントで裏面も同時にペイントする方法の補足
ここからは前面のみ(Front Faces Only)と2Dの減衰(2D Falloff)と3Dの減衰(3D Falloff)について補足をしていきますが、細かい説明になるので読み飛ばしても構いません。
2Dの減衰(2D Falloff)、3Dの減衰(3D Falloff)、前面のみ(Front Faces Only)の3つに関して、画像4のような立方体をXYZ軸に11個ずつ並べたものをサンプルとして使用して、それぞれチェックを入れた場合または外した場合の挙動について紹介してきます。

画像4
◆ 2Dの減衰(2D Falloff)
前面のみ(Front Faces Only)のチェックを外して、2Dの減衰(2D Falloff)にチェックを入れた状態で、numpad1のFrontからWight1.000でペイントした結果をFront、右半分を非表示にしてRight、Backの3つの視点から見てみると、画像5のようになります。

画像5
2Dの減衰(2D Falloff)にチェックを入れているので、画像4のFrontで確認できるようにペイントした地点から2Dの円状に効果が減衰していっています(=円の中心が効果(ウェイトの強弱)が最も強く外側に行くほど効果が弱まっています)。
しかし、画像4のRightで確認できるように、2Dの減衰(2D Falloff)では3D方向(奥行き)への減衰は行われない(効果が弱くなることがない)ため、例えばウェイト1.000で塗った地点の裏面や背後にあるメッシュも同じウェイト1.000で同時にペイントされることになり、FrontとBackの画像が同じになります。
◆ 3Dの減衰(3D Falloff)
同じサンプルを使用して、前面のみ(Front Faces Only)と2Dの減衰(2D Falloff)のチェックを外した状態でペイントを行います。2Dの減衰(2D Falloff)のチェックを外すと3Dの減衰(3D Falloff)が代わりに使用されるようになります。
先ほどと同じように、numpad1のFrontからWight1.000でペイントした結果をFront、右半分を非表示にしてRight、Backの3つの視点から見てみると、画像6のようになります。

画像6
3Dの減衰(3D Falloff)を使用した場合、ペイントした地点から3Dの球体状に効果が減衰していきます(=球体の中心が効果が最も強く外側に行くほど効果が弱まります)。
2Dの減衰(2D Falloff)では3D方向への減衰は行われませんでしたが、3Dの減衰(3D Falloff)では効果が球体状に減衰していくので、画像5のRightで確認できるように中心部分が赤色で中心部分から遠くなるほど青色に減衰していき、Backの視点までは全く効果が届いていません。
この記事で前面と裏面を同時にウェイトペイントする方法として、前面のみ(Front Faces Only)のチェックを外して、2Dの減衰(2D Falloff)にチェックを入れるという方法を紹介しましたが、3Dの減衰(3D Falloff)では多くの場合、ペイントした中心からの距離があり効果が届かず裏面にはペイントされないだけで、メッシュ同士の距離が近い場合やメッシュが薄いもの(人型のメッシュの耳や指先など)である場合には、3Dの減衰(3D Falloff)でも効果が届いて裏面にペイントされることもある、というのが正しい表現になると思います。
◆ 前面のみ(Front Faces Only)と2Dの減衰(2D Falloff)
同じサンプルを使用して、前面のみ(Front Faces Only)と2Dの減衰(2D Falloff)にチェックを入れた状態で、numpad1のFrontからWight1.000でペイントした結果をFront、右半分を非表示にしてRight、Backの3つの視点から見てみると、画像7のようになります。

画像7
画像6のRightで確認できるように2Dの減衰(2D Falloff)にチェックを入れているため3D方向への減衰は行われていませんが、画像6のFrontで確認できるように前面のみ(Front Faces Only)にもチェックを入れているため立方体の前面だけペイントされていて、画像6のBackで確認できるように裏面にはペイントされていません。
◆ 前面のみ(Front Faces Only)と3Dの減衰(3D Falloff)
同じサンプルを使用して、前面のみ(Front Faces Only)にチェックを入れて、2Dの減衰(2D Falloff)のチェックを外した状態(デフォルトがこの状態です)で、numpad1のFrontからWight1.000でペイントした結果をFront、右半分を非表示にしてRight、Backの3つの視点から見てみると、画像8のようになります。

画像8
画像7のRightで確認できるように2Dの減衰(2D Falloff)にチェックを入れていないため3D方向への減衰が行われていて、画像6のFrontで確認できるように前面のみ(Front Faces Only)にもチェックを入れているため立方体の前面だけペイントされていて、画像6のBackで確認できるように裏面にはペイントされていません。
以上、Blenderの「ウェイトペイント時にマスクを設定する方法」でした。
※この記事で使用しているのはBlender 2.81、Blender 2.90です。
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