Blenderで使用できるマージ(Merge)という機能を紹介します。
1 マージ(Merge)とは
マージ(Merge)とは選択中の頂点を、指定した別の頂点または指定した場所でマージする(まとめてひとつにする)機能です。
マージ(Merge)は編集モード(Edit Mode)でのみ使用可能で、ショートカットキーMキーで画像1のようなメニューが表示されます(上部のメニューではメッシュ(Mesh)→ マージ(Merge)内にあります)。
今回の記事では、画像1の一番下にある距離でマージ(Merge by Distance)以外のものを取り上げます。
距離でマージ(Merge by Distance)については別の記事で取り上げる予定です。
自動マージ(Auto Merge)については以下の記事で紹介をしています。

2 マージ(Merge)の使用方法
ここからマージ(Merge)の初めに選択した頂点に(At First)・最後に選択した頂点に(At Last)・中心に(At Center)・カーソル位置に(At Cursor)・束ねる(Collapse)の各使用方法を紹介します。
2.1 初めに選択した頂点に(At First)
初めに選択した頂点に(At First)では初めに選択した頂点に、残りすべての選択中の頂点をマージします。
頂点選択モードでのみ使用可能な機能です。
サンプルとして平面(Plane)を4分割したものを準備して、画像2のように上部にある3つの頂点を左側から順番に選択しました。
この状態で初めに選択した頂点に(At First)を使用すると、画像3のように選択中の頂点が初めに選択した左側の頂点にマージされます。
2.2 最後に選択した頂点に(At Last)
最後に選択した頂点に(At Last)では最後に選択した頂点に、残りすべての選択中の頂点をマージします。
頂点選択モードでのみ使用可能な機能です。
平面(Plane)を4分割したサンプルを使用して、画像4のように上部にある3つの頂点を左側から順番に選択しました。
この状態で最後に選択した頂点に(At Last)を使用すると、画像5のように選択中の頂点が最後に選択した右側の頂点にマージされます。
2.3 中心に(At Center)
中心に(At Center)では選択中の頂点をその中心でマージします。
すべての選択モードで使用可能な機能で、頂点を選択した順番は影響しません。
平面(Plane)を4分割したサンプルを使用して、画像6のように上部にある3つの頂点を選択しました。
この状態でマージ(Merge)の中心に(At Center)を使用すると、画像7のように選択中の頂点をその中心でマージします。
中心の位置がわからない場合は、左側にあるツールバー(Tool Bar)内の3Dギズモのいずれかを表示させると確認ができます(画像8参照)。
例えば平面(Plane)を4分割したサンプルを画像9のように選択した場合、3Dギズモがある位置が選択中の頂点の中心なので、
画像10のようにマージされます。
2.4 カーソル位置に(At Cursor)
カーソル位置に(At Cursor)では選択中の頂点を3Dカーソルがある位置でマージします。
すべての選択モードで使用可能な機能で、頂点を選択した順番は影響しません。
平面(Plane)を4分割したサンプルを使用して、画像11のように上部にある3つの頂点を選択しました。
3Dカーソルはサンプルのメッシュの中央から少し上の部分にあります。
この状態でマージ(Merge)のカーソル位置に(At Cursor)を使用すると、画像12のように選択中の頂点を3Dカーソルがある位置にマージします。
2.5 束ねる(Collapse)
束ねる(Collapse)は選択中の頂点の中心付近でマージしますが、複数のメッシュにまたがって選択をした場合に、それぞれのメッシュごとに束ねる(Collapse)を行います。
すべての選択モードで使用可能な機能で、頂点を選択した順番は影響しません。
束ねる(Collapse)についてマニュアルでは「Every island of selected vertices (connected by selected edges) will merge on its own median center, leaving one vertex per island. 」と説明されています。
平面(Plane)を4分割したサンプルを2つ準備して、画像13のように6つの頂点を選択しました。
この状態で例えば中心に(At Center)でマージすると、選択した頂点が別々のメッシュにまたがっているかどうかは関係なくマージを行うので、画像14のように別々のメッシュがひとつのメッシュになってしまうこともあります。
同じようにして束ねる(Collapse)でマージすると、画像15のようにそれぞれのメッシュごとに、選択中の頂点の中心付近へ頂点をマージします。
束ねる(Collapse)では別々のメッシュがひとつになってしまうことはありません。
3 補足
3.1 削除した頂点数の表示
マージ(Merge)が行われた場合、Blenderの画面下に画像16のような「X個の頂点を削除しました(Removed X vertice(s))」という表示が出ます。
Blenderのバージョンによっては表示されないものもあるようです。
3.2 最後に選択した頂点/辺/面の表示について
頂点を複数選択した場合、最後に選択した頂点は白く表示されます(辺や面も同様です)。
画像17では上部にある3つの頂点を左側から順番に選択しています。
一番左の頂点が白くなっていますが、これが最後に選択した頂点です。
最後に選択した頂点を別の頂点にしたい場合は、Shiftキーを押しながら頂点を選択して一度選択を解除して、再度Shiftキーを押しながら頂点を選択すれば、その頂点を最後に選択した頂点にすることができます。
3.3 初めに選択した頂点に(At First)または最後に選択した頂点に(At Last)をボックス選択(Select Box)・サークル選択(Select Circle)・投げ縄選択(Select Lasso)と併用する方法
ボックス選択(Select Box)・サークル選択(Select Circle)・投げ縄選択(Select Lasso)を使用して頂点などを選択した場合は頂点を選択した順番が考慮されないようなので、初めに選択した頂点に(At First)または最後に選択した頂点に(At Last)が使用できませんが、以下の方法で使用できるようになります。
画像18のように初めに選択した頂点に(At First)に使用する頂点と、最後に選択した頂点に(At Last)に使用する頂点を選択します。
ここで頂点をひとつだけ選択した場合は、初めに選択した頂点に(At First)に使用する頂点と最後に選択した頂点に(At Last)に使用する頂点は同じ頂点になります。
画像19のようにShiftキーを押しながらボックス選択(Select Box)などを使用して選択します(ショートカットキーを使用する場合は、Bキーでボックス選択(Select Box)ができる状態にして、Shiftキーを押しながらマウスをドラッグして選択します)。
この状態で初めに選択した頂点に(At First)を使用すると、画像20のようにマージされます。
また最後に選択した頂点に(At Last)を使用すると、画像21のようにマージされます。
3.2でふれた方法と同じように、初めにSelect Boxなどを使用して選択したあと、Shiftキーを押しながら頂点を選択して一度選択を解除して、再度Shiftキーを押しながら頂点を選択すれば、その頂点を最初(または最後)に選択した頂点などにすることができます。
3.4 画面左下のメニューのタイプ(Type)について
マージ(Merge)を実行したあと、3Dビューポート(3D Viewport)の画面左下に画像22のようなメニューが表示されます。
タイプ(Type)では初めに選択した頂点に(At First)や最後に選択した頂点に(At Last)などの切り替えができます。
3.5 画面左下のメニューのUV(UVs)について
画像22のメニューにあるUV(UVs)ではマージ(Merge)を実行したあとのUVマップに関する設定を行います。
4分割した平面(Plane)を画像23のように選択して、
初めに選択した頂点に(At First)でマージすると画像24のようになります。
このとき、UVマップは画像25のようにメッシュの形と合わなくなっています。
このような場合にUVsにチェックを入れると、UVマップが画像26のように修正されます。
画像25の状態からUVを展開(Unwrap)して修正することもできます。
以上、Blenderの「マージ(Merge)の使用方法」でした。
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