この記事では、Blenderの「統合(Join)」という機能を紹介します。
1. Blenderの「統合」とは?
1.1 「統合」でできること
Blenderの統合は、複数のオブジェクトを1つにまとめる機能です。
例えば別々のオブジェクトとして配置している立方体とUV球を、1つのオブジェクトにまとめたい場合などに使用します。
立方体とUV球が同じ位置にあった場合でも、統合によって1つに溶け合うようなことはなく、別々のまま同じ場所に重なるだけです。
1.2 なぜ「統合」するのか?
- 管理のしやすさ: Blenderの画面右上にあるアウトライナー(Outliner)に表示されるオブジェクトが減り、管理しやすくなります。
- 「編集モード」でモデリングするため: 例えば、別々のオブジェクトとして作成していたキャラクターの頭と体を、1つのつながったかたまりにしたい場合に、編集モード(Edit Mode)でモデリングできるように統合します。
- 手間をなくす: マテリアルやモディファイアー(Modifier)を設定する際、オブジェクトが多いとその分手間がかかりますが、まとめて1つにすると、一度の手間で済みます。
- 外部ソフトへの出力: UnityやVRChatなどのゲームエンジンに持ち込む際、オブジェクトの数が多いと処理が重くなるため、1つにまとめることもあります。
1.3 他の「くっつける」機能とはどう違う?
Blenderには「くっつける」「まとめる」「1つにする」「結合する」「グループ化する」と表現できる機能が、以下のように統合以外にもあります。自分がやりたい操作が本当に統合なのか、確認してください。
- 「ペアレント化」: 一緒に移動や回転などをしたいだけならペアレント化(Parent)を使います(Ctrlキー+Pキー)。親を変形すると、子も変形します。オブジェクトは分かれたままです。
- 「ブーリアン」: モディファイアーのブーリアン(Boolean)を使うと、複数のメッシュの重なっている部分を溶け合わせて(合成して)、1つの別の形状に作り変えることができます。
- 「マージ」: 編集モードで頂点同士をつなぎ合わせて1つにしたい場合はマージ(Merge)を使います(Mキー)。
- 「コレクション」: アウトライナーでフォルダ分けして整理したい場合は、コレクション(Collection)を使用します(Mキー)。
2. オブジェクトを「統合」する基本手順
2.1 ショートカットキーを使った「統合」
立方体(名前: 「Cube」)とUV球(名前: 「Sphere」)を画像1のように配置したものを説明用に使用します。

アウトライナーでは、画像2のように立方体とUV球が別々のオブジェクトになっていることが確認できます。

オブジェクトモード(Object Mode)で、Shiftキーを押しながらUV球 ⇒ 立方体の順番で選択します(画像3参照)。

この状態でCtrlキー+Jキーを押すと、画像4のように統合が実行されます。

統合を実行後のアウトライナーを確認すると、画像5のようにオブジェクトが1つになっています。

■ ショートカットキー以外から「統合」を使う
統合は、オブジェクトモード中に3Dビューポート(3D Viewport)のヘッダー(Header)のオブジェクト(Object)内からも実行できます(画像6参照)。

オブジェクトモード中に右クリックして表示されるメニューからも統合を実行できます(画像7参照)。
このメニューでは、複数のオブジェクトを選択している場合にのみ統合は表示されます。

2.2 「アクティブオブジェクト」とは?
オブジェクトを複数選択した場合、一番最後に選択したオブジェクトを「アクティブオブジェクト」と呼びます。
統合は、アクティブ側に、非アクティブ側が吸収されるかたちで1つにまとめられ、統合後の名前や原点は、すべてアクティブ側のものが残ります。そのため、選択の順番は重要です。
アクティブオブジェクトは明るいオレンジ色の輪郭で表示され、それ以外の非アクティブオブジェクトは濃いオレンジ色の輪郭で表示されます。
画像8では、立方体がアクティブオブジェクトで、UV球が非アクティブオブジェクトです。

2.3 「統合」後につながったメッシュだけを選択する方法
統合をした後、編集モードで特定の頂点にマウスカーソルを合わせてLキーを押すと、その頂点とつながっているメッシュを簡単に選択できます。この機能はリンク選択(Select Linked)と呼びます。
立方体とUV球の例では、立方体のいずれかの頂点にマウスカーソルを合わせてLキーを押すと、立方体だけを選択できます。UV球の場合も同様です。
2.4 「統合」したものを「分離」する方法
統合をして1つのオブジェクトにまとめた後でも、編集モードで分離(Separate)を使うと、もう一度別のオブジェクトとして切り離すことができます。
分離について詳しくは下記の記事で紹介しています。

3. 「統合」で残る設定と消える設定
統合した際にアクティブ側、または非アクティブ側のオブジェクトが持っていたデータは、以下のようなルールに従います。
3.1 アクティブ側の設定がそのまま残るもの
- 「原点」と名前: アクティブ側の原点の位置と名前がそのまま残ります。
- 「トランスフォーム」: 位置・回転・スケールなどのトランスフォーム(Transform)はアクティブ側の値がそのまま残ります。
3.2 アクティブ側にプラスされるもの
- マテリアル: アクティブ側のマテリアルスロットに、非アクティブ側のマテリアルが「追加」されます。
- UVマップ: 2つのオブジェクト間でUVマップの「名前が違う」場合は、別のUVマップとして追加されます。名前が同じ場合、2つのUVマップが統合され、重なることもあります。
- 「頂点グループ」: 2つのオブジェクト間で頂点グループ(Vertex Group)の「名前が違う」場合は、別の頂点グループとして追加されます。名前が同じ場合、1つの頂点グループにまとめられます。
- 「シェイプキー」: 2つのオブジェクト間でシェイプキー(Shape Key)の名前が同じ場合は、1つのシェイプキーにまとめられます。名前が違う場合は、別のシェイプキーとして追加されます。
3.3 非アクティブ側の設定が削除されるもの
- 「モディファイアー」: 非アクティブ側のモディファイアーは適用されずに破棄されます。逆に、アクティブ側にモディファイアーがついていると、統合された側にも強制的にかかってしまいます。
3.4 残る設定と消える設定の実例
例1: 両方にマテリアルが追加されている場合
画像9のような別々のオブジェクトとして配置している立方体とUV球を例にします。

立方体には「Material A」というマテリアル(画像10参照)、

UV球には「Material B」というマテリアルを追加しています(画像11参照)。

立方体をアクティブ側にしてUV球と統合すると、画像12のように「Material B」が追加されるかたちで残ります。

画像13のようにマテリアルの割り当ても変更はありません。

例2: 一方にマテリアルが追加されていない場合
画像14のような別オブジェクトとして配置している立方体とUV球を例にします。

立方体にはマテリアルを追加していませんが、UV球には「Material B」というマテリアルを追加しています(画像15参照)。

立方体をアクティブ側にしてUV球と統合すると、「Material B」が追加されるかたちで残り、画像16のように立方体にも「Material B」が割り当てられます。
UV球をアクティブ側にした場合、「Material B」はそのまま残り、画像16のように立方体にも「Material B」が割り当てられます。

例3: 名前が同じUVマップ
画像17のような別オブジェクトとして配置している立方体とUV球を例にします。

立方体のUVは画像18のようになっており、

UV球のUVは画像19のようになっています。

オブジェクトを選択した状態で、プロパティ(Properties) > データ(Data) > UVマップ(UVMaps)で名前の確認ができます。
2つのオブジェクトのUVマップの名前が同じだった場合、どちらをアクティブ側にしても、統合すると画像20のように同一のUV空間上に配置され、UVが同じ場所にあった場合は重なった状態になります。

重なったUVは、アイランドを梱包(Pack Islands)という機能で再配置できます。
アイランドを梱包については下記の記事で詳しく紹介しています。

例4: 名前が違うUVマップ
UVマップはプロパティ > データ > UVマップで追加や名前の変更が可能です。
統合を行うオブジェクトのUVマップの名前が違う場合、別のUVマップとして残ります。
例えばアクティブ側で「UVMap A」、非アクティブ側で「UVMap B」というUVマップを使用していた場合、統合するとUVマップは画像21のように2つになります。

青いハイライトは、UVエディター(UV Editor)で編集するUVマップの選択を意味しています。また、カメラのアイコンは3Dビューポートやレンダリングなどの表示用のUVマップの選択を意味しています。
UVマップが複数ある場合に、この選択を間違えるとテクスチャがうまく表示されずに、消えたり、真っ黒になったりします。
例5: 「モディファイアー」が追加されている場合
画像22のような別オブジェクトとして配置している立方体とUV球を例にします。

UV球は左半分がなく、モディファイアーのミラー(Mirror)が追加されている状態です。
立方体にモディファイアーは追加していません。
立方体をアクティブ側にしてUV球と統合すると、UV球のミラーが削除されるので、画像23のように元の右半分だけの状態に戻ります。

UV球をアクティブ側にして立方体と統合すると、立方体にもミラーが追加され、画像24のような結果になります。

4. 「統合」でよくあるトラブルと対処法
4.1 「統合」すべきタイミングと失敗しないための事前準備
統合をする前には、各オブジェクトのモディファイアーの適用(Apply)を済ませ、回転やスケールなどのトランスフォームの適用も済ませてから行うと失敗が少なくなります。
統合をすべきタイミングとしては、まだ形を頻繁に微調整している序盤は避けて、モデリングがほぼ完了し、完成直前くらいがベストです。
すべきタイミングであっても、一度統合した後で再度別々のオブジェクトに戻すのは大変な場合が多いため、元に戻せるように「.blend」ファイルを保存した後か、オブジェクトの複製を取った後がおすすめです。
4.2 Ctrlキー+Jキーを押しても「統合」できない
オブジェクトの選択はアウトライナーですることもありますが、統合のCtrlキー+Jキーは、3Dビューポート上で押してください。
4.3 「統合するメッシュデータがありません」とエラーが出る
統合は同じタイプのオブジェクト同士でのみ実行できます。
異なるタイプのオブジェクトを統合しようとすると、「統合するメッシュデータがありません(No mesh data to join)」とエラーが出ます。
例えば、メッシュ同士、カーブ同士、アーマチュア同士であれば統合できますが、メッシュとカーブ、メッシュとアーマチュアなどの組み合わせでは統合できません。
また、同じタイプのオブジェクトでもライトやカメラなどそもそも統合ができないものもあります。
カーブはメッシュに変換すれば、統合可能です。

4.4 「アクティブオブジェクトは選択したメッシュではありません」とエラーが出る
アクティブオブジェクトがない場合には、「アクティブオブジェクトは選択したメッシュではありません(Active object is not a selected mesh)」とエラーが出て、統合できません。
オブジェクトを選択する際にボックス選択(Box Select)や投げ縄選択(Lasso Select)を使うと、アクティブオブジェクトがなくなることがあるので、Shiftキーを押しながらクリックして、アクティブオブジェクトを設定してください。
4.5 「統合」後に形が変わる・崩れる
統合によってモディファイアーが削除または追加されることが原因です。
モディファイアーを適用してメッシュの形状を確定させた後で、統合してください。
統合するすべてのオブジェクトに同じモディファイアーを追加していて、設定も同じであれば、適用せずに統合しても問題ありません。
4.6 統合後にテクスチャが消える・真っ黒になる
「例4: 名前が違うUVマップ」で少しふれましたが、これはUVマップの名前が異なっていることが原因です。
UVマップの名前はプロパティ > データ > UVマップで変更が可能ですが、UVマップの名前が違う場合、統合する際にそのまま追加されるようなかたちで残ります。
例えばアクティブ側で「UVMap A」、非アクティブ側で「UVMap B」というUVマップを使用していたとします。この2つのオブジェクトを統合すると、UVマップは画像25のように2つになります。

画像25の状態ではカメラのアイコンが「UVMap A」にあるので、「UVMap A」だけが表示され、「UVMap B」は表示されません。
統合前にUVマップの名前を同じにすれば(例えば統合前に両方とも「UVMap A」にそろえる)、上記のような問題は起きません。
4.7 統合後にメッシュのシェーディングがおかしくなる
ベベル(Bevel)の法線のハード化(Harden Normals)や厚み付き法線(Weighted Normal)を適用したオブジェクトを統合した場合に、メッシュのシェーディングがおかしくなることがあります。
このような場合、オブジェクトを選択して、プロパティ > データ > ジオメトリデータ(Geometry Data)にあるカスタム(分割)法線データをクリア(Clear Custom (Split) Normals Data)をクリックします(画像26参照)。

これにより法線を一度リセットできるので、再度ベベルの法線のハード化や厚み付き法線を追加してみてください。

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